軍事学の大家クラウゼヴィッツは、「将校に戦術の教育をちゃんとすれば、陣形なんてそのうち必要なくなっちまうさー(大意)」と言っていたらしい。しかし、限られた空間でのチーム戦をする『カルネージハート』において、効率のいい初動はその後の展開を有利に運ぶためにも非常に重要と言っていい(と思う)。戦いの原則の一つに「主動の原則」なんてものもあるようだし(自衛隊の教範に載っているらしい。簡単に言うと「先に動いて主導権を握るべし」って内容)。そのため、戦術に合わせた陣形を選択する必要がある。上手く活用すれば、こちらが有利になるよう相手の動きを誘導したり、何らかの制限を強制させることもできなくはない。
◆横陣
横陣は最も基本的な陣形の一つであり、正面に対して火力を発揮しやすい陣形である。『
カルネージハート エクサ』でもよく見かける陣形で、陣形で困ったらとりあえずコレにしておけば無難……とも言えない。短所がない訳ではないのですよ。まず、左右両翼への火力が乏しくなるため、側面からの攻撃に弱い。また、横陣を維持しながら移動することは難しい。どうしても機動力や相手との相対距離の違いから、陣形が縦陣のように崩れて連携に支障が出やすい(下図)。
こうなってしまうと誤射しやすいし、射線上の味方を識別して誤射を防ぐにしても、正面にいるであろう相手への火力は弱くなる。移動方向に制限のある車両型は、この傾向が顕著な気がする。逆に言うと、車両の突撃に対して、このように陣形が崩れるように誘導することが、砲戦型の脚付きが取れる対策になり得る。
◆縦陣
縦陣も基本的な陣形の一つである。正面に対する火力が強くないため、接敵したらすぐに横陣など別の陣形に展開しないと火力負けしてしまう。また、①の機体は集中砲火を浴びてしまうため、重装甲にせざるを得ない。かの天才的名将ナポレオンもよく用いたという陣形。
ただ、『カルネージハート エクサ』では、あまり使い道がない気がする。様々な地形に応じて素早く移動できるし、部隊の統制もしやすく、状況に応じて他の陣形への変更も比較的容易とされるが。そもそもゲーム内では、道幅が狭くて横陣だと通れないなんてマップは存在しない。『カルネージハート』は無人機だから伝達の混乱とかも考えなくていい。プログラム領域が限られるため、状況に合わせて陣形を変更するなんていかにも複雑なプログラムを組む余裕もない。
……それでも、ここではゲーム内で有効(そう)な使い道を考えてみる。まず、
wikiのテクニック集にも書かれている通り、プログラム領域を節約しつつ、簡易な集中ロックを実現できる。それ以外だと、①を囮にすることだろうか。相手との距離が近くなる程に危険度も高くなるため、普通は最も近い敵をロックする。それを利用し、重装甲の①をロックさせ、後続の②と③が安全に接敵できるようにするのである。相手は全機が①をロックしているため、②③への対処がどうしても遅れる。②③の機体からすれば、相手を殴り放題になる訳である。……こう書くと非常に有効な気がするが、①の機体が落ちると成立しないため、注意しなければならない。
◆斜形陣
斜形陣は正面に対して左右どちらか一方に傾斜する陣形である。この陣形が独特なのは、部隊の正面と左右どちらかの側面(上図だと右)に対して同時に火力を発揮しやすい点である。この特性を活用できれば、敵の弱点を突くこともできるため、戦術の幅が大きく広がるのだが、敵の配置や状態に関して事前に情報を得ていなければ、使いこなすことが難しい陣形でもある。事前情報を得にくい大会などで有効に使うには、何かしらの工夫が必要になるだろう。一番前方に突出した機体を囮にするとか、そのまま片翼包囲に誘導していくとか。
◆円陣
あまり見たことはないが、防御用の陣形に円陣というものがある。『カルネージハート エクサ』でやる場合、エリア端のバリケードを背にして陣取ることで、死角を無くした陣形を構築できる。さらに地雷や機雷をバラ撒いておくことで、特に万能防御兵装ソニックを積めない機体に対して堅固な陣形になる。ソニックを積める機体であっても、対処せざるを得ない状況を強いることができる。ショットガンを積んだ冥界3機であれば、フィールドのほぼ全域に対して弾幕による面制圧もできなくはない。装甲が薄いことが多い判定勝ち狙いの機体にとっては悪夢と言える。欠点としては、全機の火力を集中できないことだろうか。それについては、やり方次第な気もするが。あと、どうしても後手に回るというか、相手に主導権を譲ってしまいがちになってしまう。地雷原に突っ込まざるを得なくすると言えば聞こえはいいが、ソニック持ちに一点集中されるとあっさり抜かれる。また、相手も同じ戦術の場合、ほぼ完全に運頼みになってしまう。そして大抵引き分けになる。
他にも弾丸陣(縦陣の応用)とか鉤形陣(斜形陣の応用)とか色々あるが、奥が深すぎるし長くなったし、何より基本となる陣形には(個人的な見解が多分に含まれるとはいえ)一通り触れられたと思うので、今日はこの辺で。戦史において長年研究され続けていることを、こんな場末のブログで語りきるなんざ不可能なのです。ミリタリーブログにする気もねーのです。そういうのは、もっと真面目にやっている人におまかせということで。以上。
こんばんは
返信削除縦陣ですが、ケイローン混成が一般的に採用していますね
安全に接近できるのはもちろん、ケイローンは上手くいけば敵を撃破するまでの時間が非常に短いので①(あるいは①+②)を先に落とされる心配があまり無いのもメリットです
傾斜陣は見たことないかも。。。
yoshiさんこんばんは。コメントありがとうございます。
返信削除ケイローンの混成は、いかにケイローンが安全に接近するかを考えるのが楽しいです。中央を囮にして、両翼から挟撃する楔型陣形とか(まだ実現できておりませぬが)。
実は、図で示したものそのままの斜形陣採用チームは私も見たことがありません。あれが基本らしいし、分かりやすかったので採用しました。鉤形陣に似た変則的なものであれば、アフロさんの「チームアフロ」の中にあった気がします(チームアフロの数がやたら多いですが)。私自身も大会デビュー作のチームが鉤形陣に見える変則斜形陣を採用した馬イカ混成ですね。詳しくは、そのうちブログ内でネタにするつもりです。